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『変な絵』…本作品はフィクションです。9枚の絵がリアルすぎて震え上がる…!!『変な家」作者の第2弾作品

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『変な絵』

双葉社



2022年10月23日   第1刷発行

2024年4月17日  第22刷発行

著者 雨穴(うけつ)

発行 株式会社双葉社

 

 

『変な絵』とは?

ホラー系YouTuberで『変な家』作者の雨穴さんが書かれた小説第2弾となる本作は『絵』をテーマに不可解な事件を描いたミステリー小説です。全4章にわたって描かれた登場人物によっていくつかの話に分かれたショートショートのようですが、そこに隠された結末に驚かされます…。

不可解なブログに掲載された5枚の「絵」。その絵には悲しい真実が隠されていました。そしてその絵の謎には、いくつもの事件が関連しているのです。その真実にたどり着いたとき、すべての点が線で繋がり、恐ろしい事件が明らかになる…。

感想

ネタバレをできるだけ回避し感想を書いていきたいと思います。が、読んだ人にしか分からない感覚で感想が出てくることもありますのでご承知おきくださいませ。

この作品で登場するすべての「絵」には”何か”が隠されています。とあるブログに載せられた「妻が描いた5枚の絵」。この絵の秘密に気づいてしまった時ブログの作者はどうしたのか…。その考察がその後の話の展開に重要な意味を持たせます。『変な家』でも登場した栗原さんが大学生で、先輩の佐々木に意気揚々と考察を聞かせています。この頃から突拍子もない憶測をしていたということが面白くもあり不気味でもあり…。考察が鋭く恐ろしいのはもちろんですが、この掲載された「絵」が本当に不気味…!!ゾッとします…。読み進めていくと、様々な伏線や考察に出くわし「あ、この名前は確か…」「もしかしてこの人は?」など、どんどん話が繋がっていく感覚が恐ろしい。最後すべての謎が解明された時、ホッとするような気持ち悪いような今までにない感覚に陥り、短い時間で読み進めて、さらに読み返してしまうという、完全にこの作品に飲み込まれてしまいました。ネタバレ回避で書きたいので本当に印象的なシーンについては詳しく書けません…ですが、こんな人間がいるのか!!と本当に恐ろしくなる描写があり、様々な考察と時系列、登場人物の心情に心動かされます。結果的には1人の人間についての物語なのだと思いますが、歪んだ愛情や過酷な環境、理解しがたい感情、恐らくどこにも感情移入ができないこの小説で唯一、人間らしく救われたのが意外にも最後の方の栗原さんの言葉でした。あんなにも不気味で不謹慎にも事件を楽しんで謎解きしていたあの栗原さんが、誰かの幸せを願うことが信じられませんでした。何か魂胆があるのではないかと疑い読み返してしまうほど(→だいぶ失礼)。これが純粋な若かりし頃の栗原さんの姿だとしたなら、この悲しい物語にも救いのある結末で良かったなと思えます。

作者について

雨穴(うけつ)

ホラーな作画を得意とするウェブライター。白い仮面と黒い全身タイツが特徴的でYouTuberとしても活動している。

雨穴 - YouTube

参考文献とカバーデザイン・イラストについて

高橋依子『描画テスト』(北大路書房

鈴木忠『チャイルド・アートの発達心理学 子どもの絵のへんてこさには意味がある』(新曜社

[カバーデザイン] 辻中浩一(ウフ)

[カバー・本文イラスト] 著者

[イラスト協力] 森田伸

 

この作品はフィクションです。作中に登場する絵は著者が中心となって描かれたものであることが分かっていますが、フィクションだと分かっていても現実にあったのではないかと錯覚してしまうほどリアルで恐ろしい…。そして、本物の心理学にのっとった描画についての見解が用いられているので、恐ろしくも納得の結末が用意されているのがさすがの一言です。絵についてこんなにも人々が考察し、隠された真実が明らかになっていく様がなんとも不気味です。

『変な家』

著者 雨穴さんによる小説第1弾で実写映画化でも話題の『変な家』。1枚の間取り図から紡ぎ出される残酷な真実に戦慄するー。ネタバレギリギリ回避のレビュー記事はこちらから!

hayms.hatenablog.com

 

おわりに

「変な家」作者の雨穴さんが「私の最高傑作です」というほど、作りこまれた物語。本当に恐ろしく、作中の絵も、事件のトリックも、人々の心情もすべてが完璧とも言えるミステリー作品でした。そして…、「変な絵」の出版社”双葉社の公式サイトで紹介されている、音楽動画「a Mother's Nocturne」
「変な絵」を題材にした音楽作品で、本作を読んだ方には分かる内容の様々な意図が込められた歌詞のとても恐ろしい歌です。その後の世界を仮想した歌詞だったり、本作の中での細かい背景だったりと、理解が深まるのはもちろん、作者の想いも読み取れるのでおススメです。

双葉社の公式サイト でこの歌の歌詞と、作者雨穴さんのインタビューも掲載されていますので是非ご覧ください。(是非、本作を読んでから見てみて下さいね!!)

恐ろしいですよ~…。

 


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